大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和42(行ツ)99 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担する。

理 由

上告代理人加藤義則、同福永滋、同村瀬鎮雄の上告理由第一点について。

行政処分が適法有効になされた後においても、事情の変更により処分の効果を存

続させることが公益に適合しなくなつた場合には、原則としては、将来に向つてこ

れを撤回または変更することも許されると解すべきであるが、処分によつて形成さ

れた法律関係尊重の要請も無視することができないのであるから、処分を撤回また

は変更することが公益に適合するかどうかを判断するにあたつては、たんにこれを

必要とする行政上の都合ばかりでなく、当該処分の性質、内容やその撤回または変

更によつて相手方の被る不利益の程度等をも総合的に考慮して、これを決しなけれ

ばならない(最高裁昭和三九年(行ツ)第九七号同四三年一一月七日第一小法廷判

決・民集二二巻一二号二四二一頁参照)。

この見地から本件をみるのに、原審の確定した事実に徴すれば、本件区画整理事

業においては、原判示の閣議決定により事業の施行区域および事業費の大幅縮減を

余儀なくされたため、全体を現地換地の方法に切り替えることによつて建物移転費

用等の節減をはかるのでなければ、事業の早期完成を期しがたく、本件変更処分も

右換地方法の変更の一環として行なわれたものであり、他方、上告人としては、本

件変更処分により原判示係争地が上告人に対する換地予定地から除外されたため、

同土地について予定していた建物建設の計画の実行が不可能になり、そのための資

金の準備が徒労に帰したけれども、いまだ現実に同土地の使用収益を行なつていた

わけではなく、また、上告人の生活上および営業上の本拠である原判示従前の土地

(一)については、減歩されることなく現地換地を受けて、従来からの利用関係をそ

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のまま維持しえていることがうかがわれる。そして、これに加え、特別都市計画法

に基づく換地予定地の指定は、換地処分が効力を生ずるまでの間一時的暫定的に別

に土地を定めてその使用収益を相手方に許す処分にすぎず、当該土地につき確定的

な使用収益権を付与するものではないことを合わせ考えれば、本件変更処分によつ

て上告人が前記のごとき不利益を被るとしても、いまだもつて右変更が公益に適合

するものでないということはできない。�

それゆえ、所論の点に関する原判決の判示には、前記説示に照らして措辞適切を

欠くうらみがあるけれども、本件変更処分が公益上の必要に基づくものであるとし

たその結論においては、これを是認しえないものではない。したがつて、原判決に

所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同第二点について。

原審の確定した事実関係のもとにおいては、所論の点に関する原審の判断は相当

で、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官

全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 岡 原 昌 男

裁判官 色 川 幸 太 郎

裁判官 村 上 朝 一

裁判官 小 川 信 雄

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